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阿曽原温泉から水平歩道を欅平へ [登山]

黒部ダムから下の廊下を9時間かけて阿曽原温泉小屋に下り一泊の後、翌日は水平道を歩いて欅平まで下りました。(下の廊下は黒部ダムから仙人ダムまでが日電歩道で仙人ダムから欅平までが水平歩道です。)

途中には「太鼓」と呼ばれる絶壁の岩場に刳り貫いた歩道があり緊張を強いられる場面が有りました。この辺は吉村昭の小説「高熱隧道」の舞台でもあります。

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阿曽原温泉小屋の夜は50名を超える宿泊者であったが、風もなく静かな夜でぐっすりと眠れ疲労回復もできました。
夜明け前の4時ころには早出の宿泊者がヘッドランプ灯して出かけて行きました。私は小屋の朝食時間に合わせてゆっくりと寝ていることが出来ました。朝風呂浴びたい気分でしたが、湯舟まで10分近くかかるので入浴は諦めました。新米を焚いてくれた6時の朝食を済ませ6:20に阿曽原温泉小屋を出発しました。
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キャンプ場を抜けて欅平への登山道に入り、急坂を上り上げて行きます。朝一番のこの急坂登りは堪えました。何度か足を止め息をつなぎながら150mほど高度を上げ、さらに梯子などを上り下りしてようやく樹林帯の水平歩道に出ました。水平歩道に出るまで1時間近くかかっていたと思います。
水平歩道、当初は樹林帯の中快適トレイルが続いていました。
樹林の切れ間に奥鐘山が姿を見せています。
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1時間半ほど歩いて後続の若者男女パーティーに追い越されたところで休憩を取りました。滝が流れ下っていたオリオ谷かもしれません。
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折尾谷を過ぎると黒部川の対岸に奥鐘山が迫ってきました。大岩壁の奥鐘山ですが、私は後方の南越から藪漕ぎして山頂に立っています。
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そして水平歩道の核心部に入ってゆきます。
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緊張させられますが山側にはしっかりと針金が張られ安心して歩くことが出来ます。
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最大の難所、黒部川に一番せり出した「太鼓」と呼ばれる所です。
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太鼓から見る対岸の奥鐘山の大岩壁です。
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絶壁の下をのぞき込みます。眩暈がしそうです。
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無事通過して上流側に出て振り返ります。岩盤にクラックが見えますからいつか崩落するでしょう。
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最大難所を通過してしばし放心状態ですが、さらに難所は続き気を緩めることはできません。太鼓を過ぎて少し行くと志合谷が見えてきました。吉村昭の小説「高熱隧道」では、ここに設けられた飯場が泡雪崩で対岸の奥鐘山の岩盤まで吹き飛ばされたという舞台です。私も建設会社勤務で山中で過ごした経験があるので身に染みる思いがします。
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志合谷はトンネル内をヘッドランプ灯してで通過しました。
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欅平への行程の半分を過ぎてここでも一息入れました。
志合谷から見る、来し方の水平歩道です。まさに水平歩道です。
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志合谷の先にも岩盤をくりぬいた悪場・危険個所が随所にありましたが、危険を感じながらも慎重に欅平を目指しました。水平歩道に送電鉄塔が3基ほど見ながら進むとようやく下降店も近くなってきて、今朝欅平を出て阿曽原小屋目指す登山者と行き交うようになりました。(水平歩道は関電の送電鉄塔巡視路にもなっています)
そして奥鐘山の大岩壁も見納めです。
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3基目の送電鉄塔からは欅平への下降になりました。しばらく下るとパノラマ展望台で、関電黒部ルートの見学者の30名ほどが展望を楽しんでいました。見学者の後について下り欅平への道を間違えるという失態もありましたが予定通り12時ちょうどに欅平に下り立つことが出来ました。観光客で喧騒の駅直前で汗でぬれたた着衣を着替えさっぱりとして欅平駅に向かいました。
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これにて黒部川下の廊下、上流の日電歩道、下流の水平歩道約30キロを踏破することが出来ました。

「行動時間」
2019年10月18日
阿曽原温泉小屋6:20~折尾谷付近8:10~志合谷9:40~欅平12:00

このレポを書いている22日朝には20日に上流の白竜峡付近で、下流の水平歩道で滑落事故があって2名の志望者が出たという記事を見ました。大きなザックを担いで岩場でバランスを崩したのでしょうか?緊張の連続で眩暈がしたのでしょうか?76歳になる自分が何とか歩ききることが出来たことを幸運に思っています。


欅平からは黒部峡谷鉄道のトロッコ電車で宇奈月温泉に下り、宇奈月からは富山地鉄で魚津に出て旧北陸本線の「愛の風」で泊駅、越後ときめき鉄道で糸魚川に来ました。糸魚川市内で夕食を取り、糸魚川からは「大糸線増強バス」で南小谷まへ、南小谷からは大糸線で大町まで戻ってきました。雨の降る中大町市内の無料駐車場に止めた車を回収し帰宅の途に付きました。正午過ぎに欅平を出て帰宅は23時を回っていました。

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