海別岳 [登山]
今回の北海道雪山山行の一番の目標は、65歳から始めた山スキーの動機である「海別岳をオホーツクに向かって大滑降」です。ついにその夢を叶える日が来たのであります。
海別岳山頂から見る羅臼岳方面(良い写真を撮ることができなかったのが残念)
前日は前線通過で知床半島は地吹雪もようであったが、入山口の海別林道入り口を確認し、斜里町中心部の道の駅で車中泊しました。
翌朝夜明けを待って入山口に車を付、スキーを履いて入山です。途中からツボ足登山になるので登山靴とアイゼンをザックに括り付けました。
何しろ十年来の夢を叶える日が来たというもので心が弾みます。とは言うもののこのところの体力、脚力の衰えは著しくスキー滑降が果たしてできるのだろうかという不安も大きく、昨日の地吹雪でトレースも消えてしまったのではという不安も募ります。
6:15の出発になりました。
海別林道にはスキーのトレースが残っていて安心です。山麓を回る林道を30分ほど歩いて樹林帯に入る林道支線に入ります。最初の目標は518mピークです。
消えかけたトレースを追いながら518mピークにつきました。その先下り勾配になり少し先までシール登行しましたが、ダケカンバの密林になっていて、私の技術ではこの中を画期宇するのは無理と判断しここにスキーをデポし、ツボ足登山に切り替えることにしました。ここまで1時間半ほどかかり7:45出発です。
スキーのデポ地点からは殆ど平坦地のダケカンバ・トドマツの林の中を1時間ほど歩きました。トレースは殆ど消えていましたが、地形図を見ながらなんとなく高度を上げて行きました。
森林限界に達する標高600m超の台地まではスキーデポ地点から1時間半以上もかかってしまいました。
ここからはこの先登りあげて行く大雪原が広がっていました。12本爪のアイゼンを装着し歩き始めるとスノーシュー履いた後続の男女各2名の後続が追いついてきました。単独登山と思っていたので、驚きとともに少安堵気持ちが沸きました。
私よりは足が速いのだろうと思っていたパーテイですが、どうやらガイド付き女性登山者のようで、この先私がいつも先行しました。
緩い勾配の大雪原を高度を上げて行くと右手に小海別岳が見えてきました。
さらに進むと斜里岳が春霞の中に浮かんでいました。
来し方を振り返ると樹林帯の先にオホーツク海が見えるようになってきました。
傾斜の緩い大雪原は867m標高点から1156mの標高点まで続いていて、ここは私の滑りでも滑降できそうなので、早々にスキー板をデポしてきたことを後悔しました。
大雪原の好目標の1156m標高点には森林限界に入って1時間の登行です。
目の前に海別岳が聳えていましたが雪煙が舞い風が強そうです。
海別岳ここからが修羅場です。1390mの前衛のニセピークまで標高差250mの急登が続いていました。私はアイゼンを利かせ、雪原を直登しましたが、後続の4人組は急坂をジグザグ切って登ってきました。この時点で後続グループはガイド付き登山者と思ったものです。
強い風に煽られながら250mの標高差を1時間半近くかかって正午丁度に前衛の1390mピークにつきました。あまりにも時間が掛かってしまい本峰まで行けるのかと心配するほどでした。
ここまで来て本峰を踏まない手はありません。一息入れた後は稜線伝い本峰に向かいます。前衛のピークから結構遠くに見えた本峰ですが、25分ほどの距離でした。
何と入山口から6時間以上もかかって12:25念願の海別岳山頂に立ちました。
本峰から前衛のピークをみます。
斜里岳方面から右側にオホーツク海が見えます。
こちらは知床半島の羅臼岳方面です。
山頂の北東側はスパッと切れ落ちていました。後方は羅臼町方面になります。
強風に耐えながら30分ほどランチ休憩を取りました。後続が前衛ピークに現れる頃12:50、海別岳山頂を後にしました。稜線上で後続とスライドしましたが強風で声も届かないほどでした。登りに1時間半もかかった前衛ピークからは30分で1155m標高点に下り、オホーツク海を見ながら快適に下って行きます。まさにスキー登山の醍醐味を味わえるロケーションです。(残念)
森林限界からトドマツ・ダケカンバの樹林帯に入り緩んだ雪に足を取られながら進んで、スキーデポ地点には15:30に下り着きました。「後続パーテイに追いつかれる前にスキーを履いて下りたいな~」と思っていたので、素早くスキーに履き替え登山靴とアイゼンをザックに括り付け、ダケカンバ林をツリーランしながら滑降開始です。
なんとなく続くトレースを折って樹林帯を抜けて海別林道に下りました。林道は滑降できるほどの傾斜がなく重い足を引きずりながら歩きました。それでも登りに1時間半ほどかかったスキーデポ地点から40分ほどで16:15に入山口に下り着くことができました。
「海別岳をオホーツクに向かって大滑降」の夢叶えたり、破れたりの複雑な思いが交錯したというものです。後方に海別だけの雄姿を見ながらの一枚です。
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