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小谷村・鬼無里境の八方山 [登山]

小谷村と長野市鬼無里境の東山山塊にある八方山に登ってきました。
鬼無里の落合から廃林道を歩き、八方滝を高巻きして八方沢を遡上、沢の源頭部からは急斜面の藪に突っ込み稜線に登り上げました。稜線上にも根曲がり竹の密藪でしたが何とか山頂を踏むことが出来ました。

沢遡行のために長靴登山のせいもあって、登りに7時間・下りに5時間のロング山行でしたが、体力消耗ながらも12時間の連続して歩けたことに満足しています。

藪の中の八方山山頂です。

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小谷村・白馬村と長野市鬼無里の境界にある東山山塊には堂津岳を北端に南の柳沢峠の東山(東山は山塊の中央にもある)まで10山ほどのピークが有ります。堂津岳・奥西山・東山・柄山峠などには登山道が有りますが、黒鼻山・八方山・物見山には登山道が有りません。今回はそのうちの八方山を目指しました。
ヤマレコに記録のある「Treeapple」氏の山行記録を参考にして10時間のロングラン登山を覚悟し、天気の崩れの心配のないことと、日が長いこの時期にと思って前日に登山を決断しました。
自宅を5時前に出発して入山口の鬼無里の落合には6時半前に着きました。2年前に柄山峠から柄山に登った時に来たことのある落合ですが、奥裾花峡への道路から分岐する細い地道には落石もありひやひやしながらの運転でした。八方沢の徒渉を繰り返しながらの登山になるので、地下旅にするか途中から登山靴に履き替えるかさんざん迷いましたが、長靴登山にしました。これが良かったのか悪かったのか・・・。

入山地点にある古民家ですが、今は住んではいないようです。畑にはミツバチの巣箱が置かれていて電気柵も有ったので通ってきているのでしょう。

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舗装道路の地道をさらに数百メートル進むともう一軒の民家が有りました。こちらは廃屋のようでしたが、ここまで電柱が立ち電線が張られていたので、つい最近まで人が住んでいたのでしょう。
最終民家のすぐ先が車道終点で、その先の林道入口には倒木が有り、ゲートの役割をしていました。林道に入ると完全に廃林道で草木の被さる道になり泥濘も所々に現れて「長靴で来てよかったな~」と思うものでした。八方沢沿いの廃林道を行くと途中に左に分岐する林道分岐地点に来ました。入口には「財産区の許可を得たもの以外の山菜採取禁止」の看板が立っていました。
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八方沢沿いの廃林道は崩落が激しく、ひどい荒れ方で林道の用を果たしていません。それでも草や小枝の被さる中に登山道がしっかりとあり、安心して歩くことが出来ました。
小一時間ほど歩いて八方沢の沢筋に下ると登山道は消えていました。「ここから入渓かな?」と首を傾げながら前方を見上げると滝が現れました。「八方滝です」。
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ここは右岸側に巻き道ありと云うヤマレコ情報だったので、右岸側に道を探しましたが、道はありません。已む無く薄い藪に突っ込み、ざれた斜面を藪の枝に掴まりながら高度を上げました。30mほど高度を上げましたが、ざれた急斜面で上方に藪もなくなりトラバースもままなりません。結局河畔に下って滝の右岸側に再度道を探しました。藪の中に人が歩いた形跡があるので、再び藪に突っ込みました。こちらはさっきよりもさらに急斜面です。途中で長靴が脱げてしまい慌てることも有りましたが、何とか小藪に掴まりながら高度を上げて、少し傾斜の緩んだ地点に上り上げました。なんとそこには人が安心して歩けるような登山道が現れました。そしてその道は先ほど上り上げた急斜面のざれた地点のすぐ上のトラバース道が有りました。「滝より前にここに来る登山道が有ったのか」とこの間の苦労を悔やむのでした。結局ここで30分くらいのロスタイムでした。
登山道に腰を下ろして朝食のおにぎりを一つほうばりました。ここまで入山場所からは1時間半ほどかかっていました。登山道はすぐ先に八方滝を巻く道になり、ざれた斜面にロープが張られていてこのコース随一の危険地帯です。ざれた斜面には最近歩いたばかりの足跡が有り、それを確認しながらロープに掴まって一歩一歩慎重にトラバースしました。危険地帯を越えると八方沢の河畔に出て藪の中に登山道が続いていました。
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河畔の登山道は草や小灌木が被さる道ですが、つい最近歩いたものと思われる、小枝や草の葉が落ちていました。登山道は何度も右岸左岸に移りながら進んで行きますが、勾配が緩くあまり高度を上げません。そして要所要所には赤布も下がっていて、この山にも登山者がいるのだと思いました。
物見山からの支沢が合わさる地点まで来ました。すでに10時を回っていて少し不安が募るころでした。
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物見沢から先の八方沢沿いにも赤布が下がっていて安心して遡上を続けました。まだまだゆるい傾斜で中々高度が稼げません。倒木も多く見られます。
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沢の水も少なくなると沢の中に入って行きました。長靴登山の良い所です。一ヶ所左岸側に樹木が切り払われた草地の斜面が有り、雪崩れたデブリが沢の両岸に有りました。
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この辺りまで林業関係者が入山していたことが分かるというものです。
この先八方沢は狭まり水量も細くなり、徐々に傾斜を増してきました。途中沢が二俣に分かれるところが有りましたが、左俣に入りました。そして涸れ沢となって沢の源頭も近づいてきました。
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来し方を振り返ると登って来た沢が一望できて、頭を雲に隠した後立山連峰が望まれました。
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沢はさらに狭まり右岸側は岩壁状になり、シラネアオイやハクサンイチゲが群生していて疲れを癒してくれます。
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スマホのGeographicaが「高度1500mを越えました」と云う頃は12時を回っていて、ようやく沢の源頭を越えました。もう入山から5時間を超えていて焦りがありますが、「正午まで前進を13時まで前進」に切り替えて、藪の中に突入です。
稜線直下の急坂の藪で、足場もざれていて長靴では踏ん張りがききません。小枝に掴まりながら10歩も進めば足が止まり中々高度を稼げません。途中で「オェー」とこみあげてくるのは脱水症状の前触れです。藪の中に腰を下ろして水分補給です。そして右足が攣りはじめ痛さに悲鳴が上がります。ツムラの68を一包含み事なきを得ました。雑木の中に根曲がりが混じりザックが引っ掛かって悪戦苦闘しながら何とか稜線に登りつきました。13:10のの稜線です。
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地形図を見ると八方山の山頂はすぐそこですが、疲労も大きくここで登頂を諦めかけました。しかし給水して少し休みを取ると、「ここまで来て山頂踏まない手はない」と思い直して、さらに厳しくなった根曲がり竹の尾根を掻き分けて山頂へ向かいました。ザックがひっ飼って前進もままなりませんが、20分ほど凌いで何とか山頂と思われる一角に登りつきました。
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Geographicaを見ると山頂はもう少し先です。ザックをデポして藪の中を数分進んで、間違いない八方山の山頂に着きました。
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山頂標識があると期待しましたが有りません。三角点を探す余裕もありません。
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激藪氏の記録ではこの稜線の先に、ここより標高が高いピークが八方山と云う記録が有りましたが、国土地理院地図ではここが間違いない八方山山頂です。休憩もとらずブナの古木をカメラに収めて山頂を後にしました。
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もう14時前で焦りも有りましたが、「5時間あれば、明るいうちに下山できる」という安心感も有りました。スマホの電波が通じるので、自宅に「予定より少々遅れるが心配するな」と電話するほどの余裕も有りました。
ザックを担いで稜線の下降点に戻って来て昼食のおにぎりとパンをかじって藪山を下り始めました。下りとは言え急斜面で足場がおぼつきません。滑り落ちないように足を踏ん張りながら慎重に下りました。何回か尻もち付きながらも涸れ沢に出ると一安心です。浮石や石車に乗らないように足場を選びながら下って行きます。登りには見えなかった樹相などに目をやりながらの沢下りになりました。
こんなサワグルミの樹高30mを超える大木を見ることも有りました。サワグルミの木は昔は下駄材として霧とともに利用されたそうです。
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一時間に一度の給水タイムをとりながら、中間点とも思える物見沢出合までは2時間半ほどかかっていましたが、焦りを覚えることなく沢を下りました。
八方滝の巻道は疲れも出て足元がおぼつかない状態でしたがロープに掴まってトラバースして最後の休憩です。登りに難儀したその先も、ざれたトラバース道が続いていましたが、慎重に歩いて八方沢の正規登山道に下ると一安心です。18時を回っていましたが廃林道を早足で猿いて入山口の落合には八方山山頂から5時間後の818:45の下山となりました。
Treeapple氏の記録では10時間を切っての往復でしたが、6年前の記録です。私は往復12時間のロングラン登山となった八方山も満足の内でした。履いていた長靴は破れていました。
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「行動時間」
落合6:40~八方滝上流側8:20~物見沢出合10:10~八方沢源頭付近12:00頃~稜線13:10~八方山13:30/13:40~稜線14:15~物見沢出合16:50~八方滝17:55~落合18:45

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