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黒部別山は敗退 [登山]

マイナー12名山、黒部別山に行ってきました。

入山口のハシゴ谷乗越に幕営し、翌日黒部別山山頂を踏んで黒部ダム駅に戻る1泊2日の予定です。

藪漕ぎ2時間ほどで計画通りの行動はできないことが分かり、敢無く敗退し黒部ダムに戻りました。(´;ω;`)

久しぶりに見た裏剱岳。

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「岳人特選マイナー12名山」ですが、登山道の無い藪山名山で、主に残雪期に登られている山です。「マイナー12名山はこちら

私は現在まで越後山脈の矢筈岳・毛猛山・ネコブ山、飯豊の大日岳から派生する加治川尾根の烏帽子山、朝日連峰野化穴山、奥羽山脈和賀山地の朝日岳に登っていて、今春には北海道の増毛山地の群別岳に登りました。いずれも一筋縄では登れない苦労して山頂に立った山で、どの山も思い出深い山々です。

残りの5山は、北海道日高山脈のピリカヌプリ、南会津の会津丸山、奥利根の赤倉岳、屋久島の障子岳と黒部別山です。「日本の山1000」も残すところ15山まで近づいた今、全山登頂は無理にしても自分の力で登れる山にはアタックしようという思いです。

黒部別山は名峰・難峰多い立山・黒部で唯一選ばれている山で、「富山の百山」にも選ばれているようです。登山記録をネットで調べても残雪期登山の記録が多く藪漕ぎ登山の記録は、ハシゴ谷乗越から4時間で往復したという、ヤマレコの藪山キングともいわれる「tyojinbo」さんの記録があるだけです。はなから私には無理な山と思っていたのですが、知人の私より年長の女性が2年前、「真砂沢ロッジ2泊のツアー登山」で山頂踏んだという事を知り、俄然登行欲が高まったというものです。

黒部ダムから内蔵助谷~ハシゴ谷乗越に歩いて幕営、翌日6時間で往復して黒部ダムに戻るという1泊2日の計画です。


1日目

夏の終わりの8月最後の日曜日。2日好天が続くことを確認して扇沢に走りました。扇沢の無料駐車場は満杯で已む無く1日2,000円の有料駐車場に車を停めました。

始発の7:30発のトロリーバスは満員状態で、黒部ダム・黒部アルペンルートの人気が分かるというものです。黒部ダム駅で日電歩道への道を確認し、トンネル出口でパッキングの確認です。

絶好の天気で立山の峰も見えて心が躍ります。今日ここを出て真砂谷ロッジに向かう登山者は私を含めて5人です。

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つづら折りの遊歩道を下ってダム下に来ました。毎秒10トンの観光放流の水量で黒部川の水流も勢い良いです。架設の鋼製の橋を慎重にわたります。
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橋を渡って再度ダムを見上げました。高さ180mダム、まさに巨大という言葉がぴったりです。間組が施工したダムですが、私もこのような土木工事に長く携わってきたので、自分が歩いてきた人生に誇りを感じるものです。
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ダム下からは黒部川左岸側の日電歩道を下って行きます。両岸は切り立った岸壁で、30分ほど歩くと丸山からの岸壁に流れ落ちる滝を観ます。
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岩壁に作られた歩道が見えます。
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ダム下から1時間ほどで内蔵助出合に着きました。この先仙人ダムまでの「下の廊下」はまだ残雪が残り落石の危険もあるので通行止めでした。阿曽原温泉から下の日電水平歩道も落石・崩壊の危険が高く今年はまだ通行できないそうです。
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内蔵助出合で一息入れた後は内蔵助谷に入り右岸側の丸山東壁の下部を行きます。酷く荒れた道で丸山からの岩場から落石の強風を感じます。真砂岳から流れ下る内蔵助谷も轟音を立て流れ下っています。
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内蔵助谷の対岸には大タテガビンの大岩壁が屹立しています。ここを登るクライマーもいるのでしょうか。
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勢い良い内蔵助谷の流れをみながら高度を上げて行きます。岩壁を高間ク場所もいくつかあり登り一辺倒の登山道ではありません。梯子場では今朝内蔵助山荘を出た2名の女性が、「長い道を下ってきた。黒部ダムまであとどのくらいかかりますか」と悲鳴にも似た声がかかりました。「黒部川の日電歩道まで30分その先は1時間40分くらいですよ。頑張ってください」と声かけました。
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内蔵助出合から2時間ほど登ると内蔵助平の平坦地に着きました。内蔵助谷に架か橋を渡ります。
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ここでも水量は豊富です。
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真砂沢ロッジと真砂岳・内蔵助山荘への内蔵助平分岐に着きました。内蔵助出合から標高差約450m、コースタイム2時間になっていますが、テント担いだ私の足でも2時間20分で登り着きました。
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昼食休憩を取っていると、真砂岳から下ってきた男性2名の登山者が、登山道とは思えないような荒れた道を下って来たと汗をぬぐっていました。ここで幕営用の2リットルの水を確保しました。
内蔵助平を少し歩くとハシゴ谷への道になりますが、ここは登山道ではなくゴーロ沢を行きます。
水の無い沢ですが巨石の中芦野下す場所を確認しながらの道は疲労も激しいです。
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このゴーロ沢あまり高度を上げません。1時間半ほどゴーロ沢を歩いて傾斜が増してくると沢を抜けて登山道になりました。急坂でアゴが上がりかける頃になるとハシゴ谷乗越に着きました。内蔵助平からはちょうど2時間かかりました。黒部ダム駅からは7時間の行程でした。幕営道具担いだ今の私では精一杯ですが、15時に到着ですから一安心です。
乗越にザックをデポして付近に幕営好適地を探しましたが峠に一張のスペースがあるだけです。登山者が歩く時間でないと思った4時過ぎに峠にテントを張りました。
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担ぎ上げたビールを内蔵助平で確保した水で冷やし、さらに3合のお酒を飲みながら早めの夕食撮りました。夕食後峠の先の高みで暮れゆく剱岳を眺めました。
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「コースタイム」
扇沢7:30~トロリーバス~黒部ダム駅7:45/8:05~ダム下8:30~内蔵助谷出合9:35/9;45~内蔵助平分岐12:10/12:50~ハシゴ谷乗越14:50
2日目
ハシゴ谷乗越での前夜はほとんど眠ることができませんでした。幕営山行で初めて寝袋持参せず冬用下着にタイツを穿いてシュラフカバーに包まったのですが夜間の冷え込みで寒さを覚え何度も寝返りを打ちながらの一晩でした。少しでも荷物を軽くしてという思いが裏目に出てしまいました。結局これが敗退の一番の原因になったというものです。
2日目は夜明け前の4時半過ぎには起きてアタックザックに必需品を詰めた後はテントを撤収、ザックを峠から分岐した展望地にデポしました。5時過ぎにアタックザック担いで手には鎌を持って藪山に突っ込みました。
展望地から見る黒部別山です。(前日撮影)
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尾根伝いに立つシラビソ林の下に笹藪分けた薄い踏み跡を追います。刈り払いはもちろん赤布などもほとんどなく、けもの道状態を追って進みます。最初の小ピーク2035mピークまでは順調に進みました。
2035mピークからは少し下りますが、ここで道を失い背丈を超えるネマガリダケの密藪を下ってしまいました。藪の中で右側にシラビソ林の尾根を見て道が違うことが分かったので笹藪をトラバースしようと格闘しますが、水平に延びたネマガリダケに行く手を阻まれます。已む無く少ピークに登りかえして尾根上の踏み跡に戻ることができましたが、時間にして20分ほどのロスタイムでした。ロスした時間も大きいですが、この間の焦りによる行動の体力・気力の消耗も激しかったです。尾根は小さなアップダウンを繰り返しシラビソの根元を目標に前進しました。
やがて急坂に差し掛かり、手に持った鎌を地面に刺したり、樹木にひっかけたりして体を持ち上げながら高度を上げて行きます。朝食を摂っていないので手にも力が入りません。
急坂を登りきった場所でスマホのJPSを確認すると2100m地点です。
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眼前に黒部別山へ続くと思われる尾根が見えますが、ここまで既に2時間を超えていました。
ハシゴ谷乗越から3時間かけて別山に立ち乗越には10時半に戻らなければ黒部ダムに戻っても最終便のトロリーバスに間に合いません。予備食を持ってきたのでもう一晩幕営できますが、寝袋がなく眠れない寒い夜を2晩続けるのは命とりです。JPSと地図を見ると未だ行程の半分にも来ていません。この先はそれほどひどい藪ではなさそうですが、体力消耗も激しく、きっぱりと前進停止を決断しました。
木の根に腰を下ろして朝食のパンとリンゴをかじりました。やはり「藪山入山前にはしっかり腹ごしらえしなければ」とも思わせられました。
付近の樹間の開けた場所から撮った画像です。
剱岳。
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ズームで撮りました。八峰も良く取れています。
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北方稜線から池ノ平山・仙人山です。池ノ平小屋も見えます。
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再び剱岳。
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撤退を決断し、往路を戻りますが矢張り藪山の下りは道迷いしやすく何度か踏み跡外します。急坂下って尾根道を慎重に戻ります。
樹間の開けた場所で見た景色です。別山~真砂岳の立山方面です。
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さらに奥の大汝山方面です。
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黒部川を挟んだ鳴沢岳~針ノ木岳方面です。
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登りの時間と同じくらいかかってハシゴ谷乗越のザックデポ地点に戻ってきました。往復4時間のアルバイトデした。まあ下見と思えば無駄足だとは思いません。
ザックのパッキングをしていると単独行が様子見に登ってきましたが、しばらく踏み跡に突っ込んでいきましたが、「その内刈り払いされるだろうからそれまで待つか」と言いながら黒部ダム方面に下って行きました。果たして黒部別山に道は開かれるのでしょうか?
昨日よりは大分軽くなったザックを担いでハシゴ谷乗越を後に、白い巨岩の涸れ沢を下って行きます。登りに2時間かかった内蔵助平分岐には1時間半で下り、さらに内蔵助谷沿いの荒れた道を慎重に下って行きます。途中で登ってくる登山者は男女2名パーテイ一組でした。
ハシゴのかかる悪路を下って黒部川沿いの日電歩道には内蔵助平分岐から登りと同じ時間かけて2時間20分で下り予定通りです。
黒部ダム下までの日電歩道は登り基調で少々疲労も覚え、途中アミノバイタル補給して何とか1時間で歩き切りました。黒部川の橋を渡って見張り小屋の係員に励まされて、黒部ダム駅までの最後の標高差180mを登りかえして行きます。さすがに疲労困憊で何度か腰を下ろして息をつなぎました。
ハシゴ谷乗越からは5時間半もかかって15時半前に黒部ダム駅に戻りました。
ザックを再点検し顔を洗って少しサッパリとして16:05のトロリーバスに乗り込むことができました。
山頂踏めなかった黒部別山、9月には山中2泊で再アタック予定です。
「行動時間」
ハシゴ谷乗越5:10~2100mピーク7:20/7:40~ハシゴ谷乗越9:15/9:40~内蔵助平分岐11:15~日電歩道13:25/13:45~ダム下14:50~黒部ダム駅15:30/14:05~トロリーバス~扇沢駅16:20

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